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複利計算の基本 — 単利との違いからCAGR・XIRRまで

2026-03-07
目次

楽天証券で積立投資を続けていて、複利の効果はなんとなく理解していました。ただ、将来の資産額を具体的にシミュレーションしたり、今の運用成績を正確に分析したりということは、正直やってきませんでした。

今回、当サイトに投資信託積立シミュレーションツールを作ってみたのですが、その過程で複利計算の仕組みやCAGR・XIRRといった指標を改めて学び直すことになりました。せっかくなので、整理した知識をまとめておきます。

単利と複利の違い

利息の計算方法には単利複利の2種類があります。まずはここから押さえておきましょう。

単利

単利は、元本に対してのみ利息がつくシンプルな計算方法です。

100万円を年利5%で運用した場合を見てみます。

元本利息合計
1年目100万円5万円105万円
2年目100万円5万円110万円
3年目100万円5万円115万円

毎年同じ5万円の利息がつきます。どれだけ年数が経っても、計算対象は最初の元本100万円だけです。

複利

一方、複利は元本+利息の合計に対して利息がつきます。つまり、利息が利息を生む仕組みです。

同じ条件で複利にするとこうなります。

元本+利息利息合計
1年目100万円5万円105万円
2年目105万円5.25万円110.25万円
3年目110.25万円5.51万円115.76万円

2年目以降、利息の計算対象がどんどん膨らんでいきます。3年程度だとわずかな差ですが、長期になるほどこの差は大きくなります。

10年後の比較

100万円を年利5%で10年運用するとどうなるか。

  • 単利: 100万 + (5万 × 10年) = 150万円
  • 複利: 100万 × 1.05^10 = 約162.9万円

10年で約13万円の差です。これが20年だと約65万円、30年だと約182万円。期間が長くなるほど複利の効果は加速していきます。

複利の計算式

基本の式

複利の将来価値(FV: Future Value)は、こんなシンプルな式で表せます。

FV = PV × (1 + r)^n
  • FV: 将来価値(最終的な金額)
  • PV: 現在価値(元本)
  • r: 利率(年利5%なら0.05)
  • n: 期間(年数)

積立投資の場合

毎月コツコツ積み立てる場合は、もう少し複雑になります。元本の複利成長に加えて、毎月の積立分も考慮が必要です。月複利で計算するとこうなります。

FV = PV × (1 + r/12)^(12n) + PMT × {(1 + r/12)^(12n) - 1} / (r/12)
  • PMT: 毎月の積立額
  • r/12: 月利(年利を12で割ったもの)
  • 12n: 総月数

式だけ見ると難しそうですが、やっていることはシンプルです。実際に数字を入れてみましょう。初期投資0円、毎月3万円を年利5%で20年積み立てた場合:

FV = 0 + 30,000 × {(1 + 0.05/12)^240 - 1} / (0.05/12)
≒ 12,331,010円

積立総額は30,000円 × 240ヶ月 = 720万円。それが複利効果で約1,233万円になり、約513万円もの運用益が生まれます。積み立てた金額の7割以上が利益というのは、なかなかインパクトがあります。

CAGR(年平均成長率)

CAGRとは

CAGR(Compound Annual Growth Rate)は、投資の年平均成長率を表す指標です。「この投資、年利に換算すると何%だったの?」という疑問に答えてくれます。

計算式

CAGR = (EV / BV)^(1/n) - 1
  • EV: 期末の評価額(Ending Value)
  • BV: 期首の投資額(Beginning Value)
  • n: 運用期間(年数)

計算例

100万円を投資して、5年後に150万円になった場合:

CAGR = (150万 / 100万)^(1/5) - 1
= 1.5^0.2 - 1
≒ 0.0845
≒ 8.45%

途中でどれだけ上下していても、結果だけ見れば「年平均8.45%で成長した」と言えるわけです。

CAGRの特徴と限界

CAGRはシンプルで分かりやすい指標ですが、いくつか前提があります。

  • 一括投資を想定 — 最初に全額を投資して、途中の追加投資や引き出しがないことが前提
  • 途中の変動を無視 — 途中で大きく下がって戻った場合も、最終結果だけで計算される
  • 積立投資には不向き — 毎月積み立てている場合、初期に投入した資金と最近投入した資金では運用期間が異なるため、CAGRでは正確なリターンを測れない

証券会社のサイトを見ると「トータルリターン」として投資総額と評価額が表示されていますが、これだけだと年利が分かりません。「投資総額100万円が120万円になった、利益率20%」——でもこれ、1年の成果と5年の成果ではまったく意味が違いますよね。CAGRはこの「年率換算」をしてくれる指標です。

ただ、毎月積み立てている場合はCAGRでは不十分。それを解決するのがXIRRです。

XIRR(内部収益率)

XIRRとは

XIRR(Extended Internal Rate of Return)は、不規則なタイミングの入出金に対応した内部収益率の計算方法です。積立投資のように「毎月入金している」ケースにぴったりの指標です。

CAGRとの違い

CAGRXIRR
入金回数1回(一括投資)複数回(積立・不定期投資)
タイミング開始と終了のみ各入金の日付を考慮
用途シンプルな投資パフォーマンス積立投資の正確なリターン

考え方

XIRRの考え方は「すべてのキャッシュフローの現在価値の合計がゼロになる月利 r を見つける」というものです。

Σ CFi / (1 + r)^ti = 0
  • CFi: 各キャッシュフロー(投資はプラス、評価額はマイナス)
  • r: 月利
  • ti: 基準日からの経過月数

この方程式はきれいに解けないので、ニュートン法や二分法といった数値計算で近似解を求めることになります。

なぜXIRRが必要なのか

具体例で見てみましょう。以下のような積立投資を考えます。

  • 2024年1月: 10万円を投資
  • 2024年7月: 10万円を追加投資
  • 2025年1月: 評価額が22万円

投資総額20万円に対して評価額22万円、利益は2万円(利益率10%)です。

でもよく考えると、1月に投資した10万円は12ヶ月間運用されているのに対し、7月に投資した10万円は6ヶ月間しか運用されていません。CAGRだと年利10%になりますが、XIRRで計算すると実際には**年利約13.3%**です。後から入れたお金は運用期間が短いのに同程度のリターンを出しているので、実質的な年利はもっと高いわけです。

積立投資をしている人——つまり多くの個人投資家——にとって、XIRRのほうが実態に近いパフォーマンスが分かります。

証券会社のデータをどう活用するか

楽天証券などの証券会社では、取引履歴をCSVでダウンロードできます。このデータには各取引の日付と金額が入っているので、XIRRの計算に必要な情報がそのまま手に入ります。

当サイトのツールには、この取引履歴CSVを読み込んでXIRRを自動計算する機能も付けました。証券会社のサイトで見られる「トータルリターン」は単純な利益率でしかないので、XIRRで年利に換算してみると自分の投資成績がより正確に分かります。

ツール開発を通じて学んだこと

シミュレーションツールを実際に作ってみると、いくつか発見がありました。

  • 月複利で十分 — 投資信託の基準価額は日次で変動しますが、シミュレーションでは月複利で十分な精度が出ます。日複利にしても結果はほぼ変わりません
  • XIRRの数値計算は意外とハマる — ニュートン法で収束しないケースがあり、二分法へのフォールバックが必要でした。投資期間が極端に短い場合や大きな損失が出ている場合に収束しにくくなります
  • CAGRとXIRRは目的が違う — 一括投資の成績を見たいならCAGR、積立投資ならXIRR。ツールでは両方使えるようにして、状況に応じて選べるようにしました

まとめ

  • 単利は元本のみに利息がつき、複利は元本+利息に利息がつく
  • 複利効果は長期になるほど大きくなる — 時間が最大の味方
  • CAGRは一括投資のパフォーマンスを年率に換算する指標
  • XIRRは積立投資や不定期投資の正確なリターンを計算する指標
  • 積立投資をしている場合は、CAGRよりXIRRのほうが実態に近い利回りが分かる

当サイトでは、積立シミュレーションに加えて、CAGR(かんたん年利計算)XIRR(詳細年利計算)にも対応しています。気になった方はぜひ試してみてください。

ヒヨリヒヨリ

複利の効果って、頭では分かっていても数字で見ると改めてすごさが実感できるよね。特にCAGRとXIRRの違いは、積立投資をしている人なら知っておいて損はないよ!当サイトのシミュレーションツールで自分の積立プランを試してみてね。